当機構が連携している東京大学復興デザインスタジオ「東京計画2050z」の成果を上野の国立科学博物館にて展示中です。
土木・建築・都市工の3専攻の大学院生が、江東区の砂町、森下、墨田区の京島、鐘ヶ淵、文京区の本郷の事前復興と、リニア中央新幹線の開通を見越した超広域的な首都像をテーマに提案をおこないました。

[会場]
国立科学博物館、関東大震災100年企画展「震災からのあゆみ -未来へつなげる科学技術-」第2会場で開催中
[会期]
2023年9月1日~11月26日

展示概要

東京大学復興デザインスタジオでは、復興の現場に貢献することのできる専門家を育成すべく建築・土木・都市計画の三分野を横断した設計演習を実施してきました。
本年は関東大震災から100年の節目を捉え、首都直下地震を念頭においた東京の事前復興計画(災害を見越して事前に検討する都市計画)をテーマとしております。100年前の9月1日、首都圏を中心に甚大な物的・人的被害をもたらした関東地震からの復興「帝都復興」では、国家主導による大規模な都市改造によって震災前からの都市問題の是正が目指されました。こうした復興は、人口減少時代における限界や方針転換の必要が指摘されつつも、今なお大規模災害からの復興において継続して適用されています。
では、これからの復興とは、または東京における事前復興計画とはどのような方法によって実践されるべきでしょうか。東京は関東大震災や空襲など、大災害を経験した都市ではありますが、その記憶は日常のなかでは見えづらくなっています。本年度の復興デザインスタジオでは、これまでどおり設計提案の作成を目指すとともに、各班が参加型のスタディツアーやワークショップをデザインしました。災害の記憶や現状の対策、想定される災害時の都市の姿などを体感していただくことをとおして事前復興の論点を共有し、これからを議論する場をつくることを試みています。
江東区の砂町、森下、墨田区の京島、鐘ヶ淵、文京区の本郷、超広域的な首都像を地域・テーマとした成果をご覧ください。また、本展覧会の会期中にスタディツアー・ワークショップを開催いたしますので、ぜひ御参加ください。

 

水都砂町(みずまちすなまち)

江東区・砂町
震災、水害による複合災害のリスクを抱える砂町を対象とした、水辺を活用したまちづくりの提案。

まだ知らない森下

江東区・森下
災害時の避難に備えた街にするために人々が認識しやすい軸の整備を構想した。また、マップを用いて街の拠点を視覚化する方法を提案する。

Car Barrack ―100年越しのありあわせ―

文京区・本郷
関東大震災直後に被災者がありあわせの材料で作った「バラック」と呼ばれる仮設建築は、自立復興のシンボルと言える。100年後の今、バラックを、そして自立復興の形をもう一度捉え直してみる。

東京解放2056―スーパーメガリージョン実現のための提案―

リニア中央新幹線と超広域的な首都像
関東大震災後やバブル期など、首都移転の議論はこれまで何度かなされてきた。ここでは、人口減少と巨大災害リスクが迫る日本において、リニア中央新幹線開通を契機とした首都移転の可能性について提案する。

Our Timeline

墨田区・京島
今後発生しうる大規模災害時には、個人の枠組みを超えた地域での協力が大切になる。「Our Timeline」では、墨田区京島を対象として災害時の複数の時点における地域の動きを可視化して、現実に近い動きを想定しようと試みた。

スミダ・モノヅクリバイバル

墨田区・鐘ヶ淵
災害復興期の生活拠点を自分たちの手で繕える文化を、墨田の文脈に即した日常的なモノづくり拠点の整備を通じて醸成する。